エンドレスエイト

少し前に放送されていたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンドレスエイトを見ました。いろんな意味ですごいと言うか何と言うか、今の制作環境の中でよく作れたなというか、大英断と言おうか、愚行の極みと言おうか、そんな話でしたね（＾＾；

既に放送終わってるからネタバレという訳でもないやろうけど、一応この先は「続きを読む」で。

一応、知らない人のためにちょこっとイントロ。

このアニメは、世界の有り様を変えてしまう力を無自覚に発揮する涼宮ハルヒという女子高生を中心に描かれるSF学園ものですな。彼女の気分次第では現在の世界が崩壊し、作り替えられるかも知れないという状況を、高校生に扮して涼宮ハルヒを監視（観察）する宇宙人、未来人、超能力者と、ハルヒに選ばれし一般の高校生の「キョン」が振り回されるお話です。

SFといっても平行世界系的な感じなんかな。あとオーストリアの精神分析学者のフロイトの名前がちょこっと出て来るような、そっち系のマニアックなセリフもあったりする。

さて、このアニメの「エンドレスエイト」のエピソードですが、高校の夏休み最後の二週間のお話。
充実した夏休みを過ごすために、プール、夏祭り、昆虫採集、花火大会、海水浴などなどと、ハルヒに振り回されるSOS団（ハルヒ団長のクラブ）の面々。
全てのスケジュールをこなし、8月30日に解散となるんやけど、ハルヒはどうも何かしっくりとする満足感を得られず、無意識にやり残したことがあると感じてしまう。。

そのせいで、9月から先の未来が消失してしまう。

つまり、再び8月17日に戻り、延々と8月31日までを繰り返し過ごしてしまうという状況となる。もちろんやり直しを開始した時点でそれを認識する者はおらず（例外一人）、誰もが当たり前に8月最後の二週間を過ごしているという状況になる。

ただ、ハルヒに身近なSOS団の面々は、奇妙なデジャヴュー（既視感）を時折感じて行く。そしてある時、同じ時間を延々とループしているのに気付き、それが一万五千回以上続いているという事実に驚愕。

なんとかそこから抜け出そうともがきながらも抜け出せず、更にループを繰り返していく。

この「エンドレスエイト」のエピソードは、全部で8話。

最初の導入が1話。抜け出そうともがきながら抜け出せない話が6話。そしてなんとか抜け出せた最後の1話となっている。

ループを繰り返しているので、これら8話はほとんど同じ内容で、特に、抜け出せない6話分はセリフもほとんど一緒。
8話分といえばリアルタイムでは約2ヶ月、ほとんど同じ話を延々と放送していたことになる。

ほとんどというのは、全く同じではないということ。
各人の服装が変わっていたり、立ち位置、場面が微妙に違っていたりと、少しずつ異なる平行世界的な演出がなされていた。

それにしても、ほとんど同じ話を8話とはすごい話や（＾＾；
まとめて観た私でも、いつ抜けられるんやと思いながら、8話目まで観れた自分をほめてやりたいくらい。
リアルタイムで二ヶ月延々やったら、きっつい話やなぁ（＾＾；

今までに無い演出やわ。普通、こんなん商業的に許されへん演出なんとちちゃうのんかなぁ。
過去の「人気」の実績があればこその演出やと思うし、実行したことは凄いことやと思うし、ある意味大英断やったんかも知れん。

確かに見ていると最後にハルヒを呼び止めようとするシーンで、その失敗に対する失望感も、回を重ねるにあたって大きくなってくる。
そして8話目の最後にループを抜けた瞬間、観ている方も登場人物同様に抜け出せた感が大きい。最後のエピローグも余韻があってよかったと思う。
それは、この演出なくしては得られなかった感想やと思う。

たがしかし、それでもしか〜し、
何考えとんねん、お前らっ！
って言いたいのは、放送後に発売されているDVDのコト。
これはやりすぎやろ。
まぁ、もう一回観たいとは思えへんし、買う気も無いし、欲しいとも思わへんのやけど、ファンが多いという作品だけに、そういう人たちにあぐらをかいているような発売やなぁ。

ほとんど同じ内容の8話が、DVDになった時にどういう内容にするんかと興味があったんやけど、調べてみたら全く酷い話。
通常版定価5880円で、一本で二話しか入っとらん。
エンドレスエイト8話分で、DVD４本で定価23,520円！
定価で買う人はおらんやろうと思うけど、
むちゃくちゃやなぁ（＾＾；

こういうんを見るとさっきの「大英断」って言うんは前言撤回やな。
今の番組はアニメ、ドラマ、映画も含めて、DVDにすることを前提に作ってるんやから、DVD一枚にエンドレスエイトが入るように作れよと思うわ。
DVDはアニメ４話は入るんやろうから、最低でも2枚にまとめるかやなぁ。

ファンやったら買うやろとでも言うとるんやろかねぇ。
ファンは大切にせなあかんと思うけどな。

「観客があって初めて、役者は役者足りうるのです」
という、「ガラスの仮面」の月影千草の言葉を贈ろう。